宗教について 〜 人の生と死を考える 注103'

公開: 2023年4月25日

更新: 2023年4月29日

注103'. 相対的な解決策を好む日本人

仏教哲学者の中村元(なかむらはじめ)氏は、「日本人の思惟方法」において、日本人の思考方法の特徴として、人間関係を重視すること、短期的な視点で物事を見ること、絶対的な見方ではなく、相対的な見方を重視することなどを指摘しています。その意味で、普遍的な視野で、倫理的な視点から「善を為す」ことよりも、周囲の人々の意見を考慮して、短期的な視点から、問題を引き起さないやり方で、周囲の人々からの反対を引き起こさないで、目の前の問題を解決する方法を見出すことに、重点を置く傾向が強いと、指摘しました。

そのため、長期的に考えて、本質的な問題を解決しようとする態度よりも、短期的な視点で、多くの人が納得する、当面の解決策を模索する、問題解決の方法を重視します。

参考になる読み物

中村元著、「日本人の思惟方法」、春秋社(2012)